モモまる誕生物語 - ムゥのようにドッグフードを食べない犬のために

それはドッグっフードを食べない犬の手作り食から生まれました 

それはドッグっフードを食べない犬の手作り食から生まれました

■ ドッグフードに興味がない犬のはなし

我が家にはムゥというトイプードルがいました。彼は小柄で愛らしい見た目とは裏腹に、とても頑固な性格をしていました。特に食事に関しては、他の犬とは少し違っていて、生まれつき食べ物に対する執着がほとんどありませんでした。

普通、犬は食事の時間を楽しみにするものです。しかし、ムゥは違いました。ごはんを目の前に置いても興味を示さず、クンクンと匂いを嗅いだかと思えば、そのままそっぽを向いてしまうのです。食べるのかと思えば、ほんの少しだけ口にしてすぐにやめてしまう。そんなことが日常茶飯事でした。

そこで私は、少しでも食べてくれるようにと、いろいろなドッグフードを試しました。無添加のものやプレミアムドッグフードなど、良さそうなものは片っ端から購入し、ムゥの前に出しました。しかし、どれも最初は少し食べるものの、数日経つとすぐに飽きてしまうのです。

「じゃあ、食感を変えたらどうだろう?」と考え、ドライフードをふやかしてみたり、トッピングを加えてみたりと試行錯誤を続けました。でも、結果は同じ。どんなに工夫しても、ムゥの気まぐれな食欲には勝てませんでした。ひどい時には三日間もほとんど何も口にしないこともあり、私はだんだんと焦りを感じ始めました。

「これでは体調を崩してしまうのではないか?」と心配になり、ついに獣医さんに相談しました。しかし、返ってきたのは意外にもあっさりとした答えでした。

「うーん、ただのわがままですね」

私は一瞬耳を疑いました。こんなに食べないのに、病気ではなく“ただのわがまま”? 

…でも、だからといってこのまま放っておくのは心配です。ムゥが健康で元気に暮らすためには、食事は欠かせません。どうにかして彼に美味しく食べてもらう方法はないものか。私はかなり思い悩んでしまいました。

犬専用 手作り肉団子の誕生

そんなムゥでしたが、人間の食べ物には興味津々でした。私たちが食事をしていると、いつもそばに寄ってきてクンクンと鼻を鳴らし、じっとこちらを見つめてきます。ドッグフードには見向きもしないのに、私たちの食べ物には目を輝かせるムゥの姿を見て、私はふと思いました。

「もしかしたら、人間と同じような食べ物なら食べるのでは?」

その考えが頭に浮かんだ私は、さっそく犬の手作り食について調べ始めました。市販のドッグフードではなく、人間が食べる食材を使って犬用に調理すれば、ムゥも食べてくれるかもしれない。そう思い、犬の手作り食に関する本を何冊も購入し、基本的なレシピから勉強を始めました。

そして、最初に試したのはシンプルな鶏肉と野菜の煮込みでした。ムゥの目の前に出すと、いつものように警戒する様子を見せたものの、ひと口食べると驚くことに勢いよく完食!これまでどんなドッグフードを与えてもすぐに飽きていたムゥが、翌日も、その次の日も、夢中になって食べ続けたのです。

この成功体験が嬉しくて、私はどんどん手作り食のレシピを増やし、さらに効率的に作る方法を模索しました。日々の食事の準備に時間をかけるのは大変ですが、どうにかして作り置きできる方法はないかと試行錯誤する中で、「犬用の肉団子」というアイデアが生まれました。

これなら、あらかじめ大量に作って冷凍しておき、食事のたびにレンジで温めるだけで簡単に用意できます。こうして、ムゥの食事は「作り置きしてレンジでチン」というスタイルに落ち着いていったのです。

しかし、カルシウムが足りない!

ムゥが喜んで食べてくれるようになったのは大きな進歩でしたが、私はさらに慎重にムゥの健康について考えるようになりました。ある日、動物病院を訪れた際に、獣医師に「ドッグフードを食べない問題は手作り食で解決しました!」と報告しました。すると、獣医師は手作り食そのものには一定の理解を示してくれたものの、こんな指摘をされました。

「手作り食はいいですね。でも、それだけを与え続けるとカルシウムが不足する可能性がありますよ。」

その言葉を聞いて、私はすぐに帰宅後、犬の必須栄養素について徹底的に調べ始めました。市販のドッグフードには、犬に必要な栄養素がバランスよく含まれています。しかし、手作り食では、いくら気をつけてもそのバランスを完璧に再現するのは難しいことが分かりました。

特にカルシウムは、犬の健康に欠かせない栄養素です。自然界の犬は獲物の骨や内臓からカルシウムやミネラルを摂取していますが、家庭での手作り食でそれを完全に再現するのは至難の業でした。私はどうにかしてムゥの健康を維持できるよう、手作り食の改良を進めることを決意しました。

味とコストと栄養バランスとの戦い

手作り食を続けるうちに、私は大きなジレンマに直面するようになりました。手作り食だけでは補えない栄養がある。かといって、市販のドッグフードをムゥが食べるわけでもない。

食事の目的は栄養の摂取だけではなく、美味しく食べてもらうことも大切です。しかし、栄養バランスを考えてレシピを調整すると、今度はムゥが食べてくれなくなることもありました。逆に、食いつきの良いレシピが完成しても、今度はコストがかかりすぎて、我が家の家計では毎日続けるのが難しいという問題も出てきました。

私は日本食品標準成分表を元にAAFCOやNRCの基準と照らし合わせ、様々な食材を組み合わせながら、栄養バランスの取れた肉団子の開発を進めました。こうして試行錯誤を繰り返すうちに、次第にムゥにとって理想的なレシピが完成していきました。

この肉団子こそが、後に「モモまる」となる原型でした。

モモまる誕生

当時、私はすでにペット用品を扱う仕事をしていましたが、ドッグフードの取り扱いはありませんでした。肉団子もあくまでムゥのために作ったものであり、商品化を考えていたわけではありません。

しかし、ペット用品店を運営する中で、多くのお客様から「おすすめのドッグフードはありますか?」と聞かれることが増えてきました。私は「市販のドッグフードは詳しくないけれど、うちで作っているものなら試してみますか?」と、自家製の肉団子をお裾分けするようになりました。

すると、そのワンちゃんたちは見たことのない勢いで完食!飼い主さんたちからも「こんなに喜んで食べたのは初めて!」と驚きの声が次々と寄せられました。

こうして、「ムゥのために作ったもの」が、次第に多くの犬たちにも喜ばれる存在となっていったのです。

モモまるデビュー

2009年の年末、私は「愛がん動物用飼料製造業者」の認可を取得するために役所へ行きました。担当者は驚きながら「ドッグフードを作ってネットで売るんですか?こういうの、流行ってるんですか?」と聞いてきました。

当時、まだ手作りでAAFCOの基準を満たす冷凍ドッグフードをネット販売している人は見当たらず、私自身も「流行るかどうかは分からない」という状態でした。しかし、「ムゥのように食べない犬のために」という思いが強く、私は販売を決意しました。

2010年元旦 - ついに、我が家の手作りドッグフード「モモまる」が正式にデビューしました。

この日から、ムゥの食事のために始めた小さな試行錯誤が、たくさんの犬たちの食事を支えるものへと進化していくことになったのです。