モモまる誕生物語
■ドッグフードに興味がない犬のはなし
我が家にはムゥという犬がいました。
彼は生まれつき食べ物に執着がない犬でした。
無添加ドッグフードやプレミアムドッグフードを与えてもダメ
少しふやかしてみたり、缶詰タイプのものにしたりしても食べるのは数日だけ
ひどい時は3日も食べないこともありました。
本件に関する医者の見解は「ただのわがままです」とのことでした。
■犬専用 手作り肉団子の誕生
ムゥは自分の食事には興味はなさそうでしたが、人間のご飯には興味津々です。
ひょっとしたら、人間と同じものなら食べるのかもしれない。
そう思った私は犬の手作り食についての本を買い、レシピ通りに作ってみたところ、見事に完食です。次の日も、また次の日も完食
犬の手作り食のコツを覚えた私は様々な料理を作りました。
慣れてくると、人は作業の効率化を考えます。
そのうち、手作り食を冷凍保存することを覚え、それに適したレシピを考えました。犬用の肉団子です。これを暇な時に大量に作り、レンジでチンをして与えるようになりました。
■カルシウムが足りない
ある日、動物病院で医者に、ドッグフード食べない問題については手作り食で解決したと報告しました。
医者は「しかし、それだとカルシウムが不足するでしょうね」と言いました。
私は家に帰ってから、犬の必須カルシウム量を調べました。
確かに手作り食では、いくら意識しても要求するカルシウム量まで達しません。
自然界の犬は獲物の臓器や骨からカルシウムやミネラルを得るのでしょうが
毎日の手作り食で、それを再現するのは困難です。
■味とコストと栄養バランスとの戦い
手作り食では、補えない栄養がある。
食事の目的は栄養の摂取だけではありません。
たまには栄養が偏っても構わないですが、毎日の食事で必ず補えていない栄養素があるのは問題です。
私は肉団子に改良を加えることにしました。
日本食品標準成分表を元にAAFCOやNRCの情報を照らし合わせ、色々な食材を加えました。
栄養は満たしたけど、不味くて食べられないものも多く作りました。
栄養は満たすけど、うちの家計じゃ毎日与えられないと断念したものもあります。
そうやって、試行錯誤していくうちに出来たのが、後のモモまるの前身となりました。
■モモまる誕生
その頃、すでに私はペット用品を売るお店をやっていましたが
ドッグフードは取り扱っていませんでした。
肉団子も手作り食のベースとして我が家では活躍してましたが、商品として売るためでなく、ムゥが健康で長生きするために作ったものでした。
それでも、この仕事をしてると、色んな人からお薦めのドッグフードを聞かれます。
私は「市販のドッグフードはわからないけど、うちので良ければお裾分けするよ」とモモまるをプレゼントしました。
するとワンちゃんが今まで見たことのない勢いで食べてくれたみたいで「この肉団子すごいな!」と何度も言ってもらえました。
■モモまるデビュー
09年末、私は役所に行き、愛がん動物用飼料製造業者の認可をいただきました。
役所の方はびっくりして
「ドッグフードを作ってネットで売るんですか!こういうの流行ってるんですか?」と聞いてきました。
その当時は誰もそんなことはしていなかったので、流行るかどうかの質問はむしろ私がしたいと思いましたが、何にせよ、私はドッグフードを製造し、売ることにしました。
2010年元旦
我が家の手作りドッグフード「モモまる」デビューしました。