愛犬の食事にこだわる飼い主さんの間で、最近「グルテンフリー」のドッグフードが注目を集めています。でも、グルテンフリーとグレインフリーの違いって、ちゃんと理解していますか?
この違いを知っておくと、愛犬にぴったりのフード選びがもっとスムーズになります。今回はその違いと、グルテンフリーのドッグフードが本当に必要かどうか、一緒に見ていきましょう。
1. グルテンフリーのドッグフードとは?
グルテンとは?
グルテンは小麦、ライ麦、大麦に含まれるタンパク質です。パンやピザ生地がモチモチして膨らむのは、このグルテンのおかげ。でも、犬にとってはこれが時々問題になることもあります。
グルテンは「グリアジン」と「グルテニン」という2つの成分が結びついてできています。これが水分と混ざるとネットワークを形成し、生地に弾力を与えるんです。パン作りには欠かせない存在ですが、犬にとってはどうでしょう?
グルテンフリーの定義と特徴
グルテンフリーとは、グルテンを含まない食品のこと。つまり小麦、ライ麦、大麦などの穀物を使わないか、グルテンを徹底的に除去した食品です。
人間の場合、セリアック病やグルテン過敏症の人がこの食事を選びますが、犬にも同じようにグルテンに敏感な子がいます。そんな子たちには、グルテンフリーが良い選択になることも。
グルテンフリーの材料には、米、じゃがいも、トウモロコシ、キヌア、そばなどがよく使われます。消化に優れているため、胃腸がデリケートな犬にも向いていると言われています。
ただし、全ての犬に必要というわけではありません。アレルギーや過敏症がない犬にとっては、必ずしもグルテンフリーがベストとは限らないんです。愛犬に合ったフードを選ぶのが一番ですね。
グルテンフリーとグレインフリーの違い
グルテンフリーとグレインフリー、名前は似ていますが実は少しニュアンスが違います。この違いを押さえると、フード選びがもっと簡単になります。
グルテンフリー
グルテンフリーは、小麦やライ麦、大麦に含まれる特定のタンパク質(グルテン)を含まない食品を指します。ただし、コーンや米などの他の穀物はOKなので、全ての穀物を排除しているわけではありません。
グレインフリー
一方のグレインフリーは、穀物を一切使わない食品です。小麦やライ麦、大麦だけでなく、米やトウモロコシも使いません。その代わりに肉や野菜、果物が主な材料になります。
違いを知って選ぶことが大事
グルテンフリーは特定のタンパク質を避けること、グレインフリーは穀物全般を避けることがポイントです。例えば、米を使ったフードはグルテンフリーでもグレインフリーではありません。この違いを知っておくと、愛犬に合わせたフード選びがしやすくなります。
最終的には、愛犬の体質や健康状態に合わせて選ぶことが大切。アレルギーがなければ、無理にグルテンフリーを選ぶ必要はありません。愛犬にとってのベストを見つけて、毎日の食事をもっと楽しんでもらいましょう!

グレインフリーのドッグフードについてはこちらでも説明しています。ふたつの違いを分かった上で愛犬に必要なドッグフードを見つけ出していただけたらと思います
2. グルテンフリードッグフードのメリット
消化を助ける効果
グルテンフリーのドッグフードは、消化器官に優しいと言われることがあります。確かに、グルテンは一部の犬にとって消化しにくい成分で、胃腸の不調を引き起こす可能性があります。特にグルテンに敏感な犬の場合、腸内で炎症が起きてしまい、消化を妨げることがあるため、こうしたケースではグルテンフリーが役立つこともあります。
ただし、米やサツマイモなどの代替成分も腸内での吸収を複雑にすることで、犬の胃腸に負担をかけることがあり、消化にかかる時間が長くなることで、消化不良を引き起こすことがあります。
アレルギーや皮膚トラブルに対して改善する可能性
アレルギーや皮膚トラブルを抱える犬にとって、グルテンフリーのドッグフードが効果的な場合があります。グルテンがアレルゲンになる犬では、皮膚のかゆみや発疹、赤みなどが現れることがあり、グルテンを除去することで症状が緩和することがあるからです。
そのため、グルテンフリーのフードに切り替えることで、こうしたアレルギー症状を軽減できることがあります。グルテンを排除することで、食物アレルギーが引き起こす症状を改善する手助けになるため、皮膚トラブルを抱えている犬にとっては、グルテンフリーのフードが効果的な選択肢となります。
3. とはいえ、アレルギーを持たない犬にグルテンフリーは必要か?
アレルギーのない犬に与える場合の疑問点
グルテンフリーのフードは、アレルギーを持つ犬にとっては非常に有益ですが、アレルギーのない健康な犬にとっては必ずしも必要というわけではありません。アレルギーを持たない犬にグルテンフリーのフードを与える場合、最も大きな疑問点は「本当に必要なのか?」ということです。アレルギーがない場合、グルテンは消化不良を引き起こすことなく、問題なく消化されることが多いため、グルテンフリーにする必要は基本的にありません。
また、グルテンフリーのフードは一般的に高価であるため、アレルギーのない健康な犬にとってはコストが無駄になることもあります。高品質なドッグフードには、グルテンを含んだ穀物や米が使われている場合もあり、これらは犬の消化やエネルギー維持に十分に役立つ素材であることが多いです。
したがって、アレルギーを持たない犬にグルテンフリーのフードを与える際には、そのフードが本当に健康に良いのか、栄養素がバランス良く含まれているかをしっかり確認することが大切です。
犬のグルテンアレルギーに関する統計データ
犬が食物に対してアレルギーを起こす割合の具体的な統計データはいくつかあります。それによると犬のアレルギーで多いのは環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)がメインとなり、食物が原因でアレルギー症状を示す犬は1〜2%ほどの割合しかありません。
ただし、皮膚疾患をもつ犬の中では食物アレルギーの割合が高くなるようです。
また、Banfield Pet Hospitalの報告では、犬の食物アレルギーの有病率はわずか0.2%とかなりばらつきがあります。
海外の研究で特定された最も一般的な食物アレルゲンは、牛肉(約34%)、乳製品(約17%)、鶏肉(約15%)、小麦(約13%)です。
また、ボクサー、ラブラドール・レトリバー、パグ、ローデシアン・リッジバック、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバーなど、特定の犬種は食物アレルギーになりやすい可能性があるそうです。
グルテンは、小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質のグループです。グルテンアレルギー(またはグルテン感受性腸疾患)は、犬ではまれな遺伝性疾患となります。
グルテンの中では小麦がやや気にするべき食物アレルゲンですが、他の穀物に対するアレルギーはかなり頻度が低いです。
アレルギーの症状や原因には個体差があるため、愛犬に異常が見られる場合は獣医師と相談し、適切な食事管理を行うことが重要です。
参考文献
- Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals
- Food Allergies in Dogs
- Canine Atopic Dermatitis: Prevalence, Impact, and Management Strategies
4. それでもグルテンフリーが必要な方のために選ぶポイント

年齢や体調に合わせた選び方
グルテンフリーが愛犬に合っているのか悩んでいる方もいるかもしれませんが、もし選ぶのであれば、年齢や体調に合わせたフード選びが大事です。例えば、子犬には成長期に必要なエネルギーがたっぷり詰まった高タンパクのフードが適しています。一方で、年齢を重ねた高齢犬なら、消化しやすく、関節や内臓をケアする成分が含まれているものが良いでしょう。
また、健康状態もフード選びの大きなヒントになります。少し太り気味の子にはカロリー控えめなもの、皮膚トラブルが気になる場合はオメガ3脂肪酸や抗酸化物質が豊富なものが理想です。ただし、アレルギーでもない限り、グルテンフリー自体が万能というわけではありません。愛犬の状態に合わせて、必要かどうかをしっかり見極めることが大切です。
成分表をしっかりチェック
グルテンフリーのフードを選ぶときは、パッケージの成分表をよく確認しましょう。特に大事なのはタンパク質の質です。犬にとって良質な動物性タンパク質は、筋肉や免疫機能をサポートするために欠かせません。鶏肉、牛肉、魚などが主成分かどうか、きちんとチェックしましょう。
また、脂質も適度に含まれているかがポイントです。脂肪はエネルギー源になるだけでなく、皮膚や被毛の健康にも関わりますが、多すぎると肥満の原因になります。そのため、適量かどうかを意識して確認しましょう。
一方で、グルテンの代替として使われる米やジャガイモ、さつまいもなどが多すぎる場合も注意が必要です。これらが主成分になっていると、結局は炭水化物が多いフードになってしまい、栄養バランスが崩れがちです。野菜や果物、食物繊維が適度に含まれているかも見極めたいポイントです。
5. まとめ:本当に必要かを考えて、愛犬に最適なフードを
愛犬にとってのフード選びは、ただの食事以上に、健康や生活の質を左右する大切な要素です。グルテンフリーのドッグフードは、確かに消化が良く、アレルギーや皮膚トラブルを抱える犬には効果的な場合があります。しかし、特に問題がない犬にとっては、必ずしもグルテンを避ける必要はありません。
フードを選ぶ際は、愛犬の年齢や体調、ライフスタイルを考慮し、何が本当に必要かを見極めることが大切です。高齢犬や運動量が少ない犬なら低カロリーで消化が良いもの、活動的な犬や子犬には高タンパク・高エネルギーなものが合っています。また、成分表をしっかり確認し、栄養バランスが取れているかをチェックする習慣をつけましょう。
フードを変えるときは、いきなり切り替えるのではなく、少しずつ混ぜて慣らしていくのがおすすめです。適切な量とバランスを保つことで、愛犬が元気に過ごせる毎日を支えることができます。
結局のところ、大事なのは"その子に合っているか"です。グルテンフリーが必要な子もいれば、そうでない子もいます。愛犬が健康で幸せに過ごせるよう、日々の様子を見ながら最適なフードを選んでいきましょう。

モモまるはグルテンフリーではありません。
残念ながら、グルテン由来のアレルギーをもつワンちゃんには与えることはできませんが、そうでない場合は愛犬に最適なフードの選択肢としておすすめです。